コミュニケーションワークショップは、ことばとからだのすべてを使って集団的に行われる学習方法です。そのプロセスを通じて、自分を開放し、気づきや自己表現力を高め、コミュニケーション力を身につけ、いきいきとした演劇的世界を創りあげる喜びを共有します。こうした場づくりに欠かせないのが、ファシリテーターです。
ファシリテーターは、もともと人間関係トレーニング、体験学習、参加型研修会、合意形成のための会場などで、プログラムを進めていく人のことです。
さらに最近では、個人の潜在的な力を引き出したり、集団内の相互作用から生まれる、気づき、学び、自己決定、人間関係の構築、相乗効果(シナジー)による創造の場づくりなどを「援助促進する人」という意味でも使われるようになりました。
メンバーの一人ひとり、またチーム全体の力をどれだけ引き出すことができるかは、ファシリテーターの力量にかかっています。
一人一人が主役、ファシリテーターは脇役です。
演劇上演は勿論のこと「誰もが自分らしく生きられる地域社会の創造」を目指すとき、自己表現力のアップは不可欠です。
「ぐるっと一座」のコミュニケーションワークショップのメニューの一部をご紹介します。
知らない人たちが、初めて顔を合わせる場合、からだも心も緊張しています。
これを“アイス状態”と言います。この状態を解きほぐすのがアイスブレイクです。
〇「わたし」・・・「あなた」リレー
―グループのメンバー同士がお互いを確認し合うゲーム―
- ①まず一人が自分を指さして「わたし」と言い、次に誰かを指さして「あなた」と言います。
- ②指さされた人は自分を指さして「わたし」と言い、誰かを指さして「あなた」と言います。
- ③この動作を次々とリレーしていきます。
- ④指さすときは、相手とまなざしをしっかり合わせること。次第に笑いや微笑みがおこり気分がほぐれてきます。
〇世界のあいさつ
「こんにちは」『どうぞよろしくお願いします』
- ①日本式は……少し離れてお辞儀をする
- ②東南アジア式は……両手を胸の高さで合わせて頭を下げる
- ③西欧式は……にこやかに握手しながら
- ④ロシア式は……ハグして背中を軽く叩きながら
ファシリテーターのリードで、世界旅行を想定して、状況を見ながら、臨機応変に場面を変えていきます。
例えば
「いよいよ成田空港を出発する時間になりました。見送りに来た友達に挨拶してください」
「カンボジアのアンコールワットで、現地の坊さんたちに会いました」
「ロンドンでホームステイの家族に挨拶してください」
「ロシアのモスクワで市民の大歓迎を受けました」
といった具合に。
〇ミラーゲーム
―2人ペアで鏡の前ごっこ―
2人ペアになり、鏡役と実体役になり、実体役のアクションに合わせて鏡役の人が動くゲーム。役割を交代してやってみましょう。
- ①「おん かーかー かび さんまー えい そわかー」
- ②自分流に、おなかの底から唱えてみよう。なんだか力が湧いてくるような気がします。
- ③アクションを加えて唱えると、より自分らしさが表現されます。
- ①一人がシャボン玉を膨らませるジェスチャーをします。
- ②その見えないシャボン玉を、壊れないように大切に、次々と隣の人に渡していきます。
- ③見えないものをあたかも存在しているかのように想像して演じることで、メンバーの気持ちはひとつになります。