失語症について

失語症イラスト 失語症。聞き慣れない言葉です。
 ある日突然自分自身が見知らぬ外国に連れて行かれたと想像してみてください。実はこの状況、失語症者が陥る状況と酷似しているのです。まず、相手の話している言葉がよく聞き取れず意味もわかりません。その言葉を復唱することも困難です。看板に目をやっても何が書いてあるのかさっぱりわかりませんし、声に出して読むことも難しい。話をしようにもわずかな単語は思い浮かんでも、それをどうつなげて話したらいいのかわかりません。文字で書くのはもっと難しい。でも、周囲で起こっていることは言葉によらずともだいたい把握できます。そうなのです。これが失語症を来した時の状況なのです。

 では、失語症とはどのような言語障害なのでしょうか?

(1)脳卒中や脳の外傷が原因で起こる。
(2)話す、聞く、読む、書くの4つの側面全てに障害が起きる。
(3)従って、失語症では様々な症状がみられる。
たどたどしい話し方になる、逆に話し方はなめらかだが何を言っているのかわからない、ものの名前が出てこない、言葉の理解ができない、何が書いてあるかわからないし、書けない。

 失語症。目には見えない言葉の障害。わかりにくい障害だからこそ、理解した上で接してくれる人々がそばにいてくれることが、失語症者に希望をもたらします。

構音障害について

 口腔器官を動かす神経に障害があると構音障害をきたします。ちょっと「おお、宝物が見つかった」と、言ってみてください。見事に舌や口唇が上に下に前に奥に素早く動いたりしているのを感じることができます。鼻に息を抜いたりもしています。こうして言語音を作り出す過程を構音といいます。構音障害は舌や口唇などの口腔器官がなめらかに運動できなくなると起こる障害です。失語症と違ってなんでもしゃべれますが、いわゆる「ろれつが廻らない」状態で、相手に発音を聞き取ってもらうことが困難になります。